調査士Q&A







Q1
 登記は司法書士がするのではないですか?
A1
 一般的に登記は司法書士がするものだと思っている方が多いのですが、下表の通り、司法書士がする登記と土地家屋調査士がする登記とがあります。 
登記のおおまかな種類 登記簿 資格
登 記 不動産登記 表示の登記 表題部 土地家屋調査士
権利の登記 甲区、乙区 司法書士
商業・法人登記
土地家屋調査士は不動産登記のうち、表示の登記をします。登記簿の表題部といわれるところの新たな記載、変更・更正の記載をします。
司法書士は権利の登記(登記簿の甲区【所有権の登記】、乙区【抵当権、地上権等の登記】)、また商業・法人の登記もします。
Q2
 表示の登記とはなんですか?
A2
 登記簿の表題部(土地については所在・地番・地目・地積、建物については所在・家屋番号・種類・構造・床面積)に関しての登記です。
 つまり、現地調査(測量も含む)、資料調査をし、現在の状況を正確に登記簿に反映させる登記のことをいいます。

 この表示登記が終わらなければ、権利の登記ができません。したがって、登記の一番の基礎となります。

 表示登記は不動産の取引の安全と円滑にするためのものであり、また固定資産税の算出基準にもなる重要な登記ですので、建物を新築・増築・滅失した時、土地が新たに生じたり、地目・地積が変更(更正ではなく)した時は所有者に申請義務があります。
Q3
 測量は測量士がするのではないですか?
A3
 同じ測量でも、測量の目的が違います。測量士は国土地理院の行う「基本測量」、国や公共団体の行う「公共測量」等を従事します。土地家屋調査士は登記を伴う測量及び付随業務としての測量(境界確定)を行います。
 
 分筆登記、地積更正登記及び地図訂正申出等で登記所に提出する
「地積測量図」は土地家屋調査士が作製します。
Q4
 農転許可を受けて新築したのに、地目が宅地になっていませんが?
A4
 農地に家を建築する場合、市街化調整区域であれば農転許可、市街化区域であれば農転届を農業委員会に提出します。
 農転許可・農転届を提出して、家が完成すれば(建物の新築登記【建物表示登記】をしようが、しまいが)地目も当然宅地になっていると思っている方が多いですが、そうではありません。
 地目変更登記をしなければ、いつまでたっても地目は農地のままです。
 住宅ローンで建てた場合は土地・建物も抵当権設定するため、建物はもちろん土地も地目変更登記をすることがほとんどですので、こういう問題はありません。
Q5
 隣の人が勝手に境界杭を抜いてしまいました。罪にならないのでしょうか?
A5
 【境界損壊罪】境界標の損壊、移動、除去または境界を認識できないようにする行為は、5年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金となります(刑法262条ノ2)。
 たとえ自分が設置した境界標でも上記のことをすれば同じ罪になります。また真の境界が別な所にあると確信してやったり、斜めになった杭を勝手に直しても同じです。
 したがって、境界標は勝手にいじることなく必ず隣地の方の同意または立会後に行ってください。道路・水路に面しているのであれば、その管理者の同意または立会が必要なこともあります。
 いずれにしても境界標の移動、設置には高度の技術が必要となります。必ず専門家にご相談下さい。
 
 【不動産侵奪罪】越境して隣地を自分の土地にした場合は10年以下の懲役となります(刑法235条ノ2)。
 あくまでも他人の土地という認識があって成立するのであって、自分の土地と思い込んでした場合は成立しません。
Q6
 隣の人から「測量するので境界の立会をして欲しい」と言われました。「境界の立会」っていったい何をするのですか?
A6
 家を新築したり、土地を測量したりする時には境界をはっきりさせる必要があります。境界をはっきりさせるために、その土地の周囲(道路・水路の対面地を含むこともあります)の所有者・管理者が現地において一同に会し、お互いの境界がどこなのか公図・地積測量図・実測図等で確認をします。
 
 既存の境界標や擁壁・ブロック塀等の構造物があっても、お互いに納得しているとも限りませんし、ブロック塀の中心か、端か、ブロック塀の基礎か境界の認識が違うこともあります。
 たとえ「ブロック塀の中心」とお隣と確認できていても、お互いの実測図、登記所にある地積測量図・17条地図等の復元できる図面と照合・点検する必要があります。実際に器械・スチールテープでその寸法があるかどうか、お互い確認し合います(国土調査・区画整理等されている地区はその測量地だけでなく、隣地あるいはその周辺全体を測量する必要があります、成果簿1のトラバース図参照)。

Q7
 なぜ、お隣の為に会社を休んでまでして立会をしなくてはいけないのでしょうか。
A7
 まず立会について、今回はお隣からの依頼ですが、お隣の為だけにするものではありません。あなたの貴重な財産を守る意味でも、境界をはっきりさせるということはあなたの利益にもなるということを理解ください。いつか逆にあなたがお隣に立会を依頼するということもあり得るということも考えれば、ぜひ立会に協力してください。
 
 立会日は道路・水路があると、役所の関係でどうしても平日になってしまいます。どうしても会社が休めない場合には、代理人として家族の者を立会わせるか、別個に休日にしてもらえるかお隣か、隣を測量する業者(土地家屋調査士、測量設計事務所等)に相談ください。
 ただ代理人が立会・確認する場合には、境界が明確な場合を除き、事前に仮杭を設置してもらいましょう。それをあなたが確認した上で代理人に立会・確認してもらってください。後日仮杭を本杭に設置し直してもらった方が問題はないでしょう。

 しかし、立会で境界がいったん確定すれば、後で「あの時の立会がおかしかった」といっても始まりません。境界立会は大事な財産管理の一環ということを考えれば、やはりご自分でお隣、道・水管理者、他の地権者と交えて話をするというのが一番です。

Q8
 お隣が頼んだ測量だから、立会ではうちに不利になるのではと心配です。
A8
 「依頼者、また声の大きい人(その地域のボス的存在)、威嚇するような人にどうしても有利になるのでは」という至極当然のご心配です。
 土地家屋調査士は「地図と境界の専門家」として公正かつ誠実でなければならないという土地家屋調査士法および倫理綱領というのがあって、中立公正な立場で下記の通り調査・測量・立会をします。時には依頼者にとって不利になるようなことも当然あります。
 
 適正な業務を行う土地家屋調査士は(中にはそうでない方も見受けられますが)立会だけで境界を決めるのではなく、まず現況測量して、現況と地積測量図・実測図・地図(公図)と照合・調整して、境界と思われる点に仮杭を設置(復元測量)するなど準備して立会に望みます。立会時に仮杭について皆さんの(依頼者だけでなく)意見を聞いて微調整して、合意ができてから正式な杭(本杭)を設置します。

 立会後には実際の立会人(代理人も含め)に立会証明書に署名・押印していただきます。その後、本杭を測量(確定測量)して、境界確定図を作製します。最終的に土地所有者本人に境界確認書(境界確定図、その他の図面類を添付)の説明をし、納得してもらってから署名・押印(地積更正でなくても、できるだけ実印を押してもらいます)するようにしています。