成果簿2

境界確定までの経緯

 他の調査士が申請地の隣地を立会・測量した時に、申請地が国土調査の境界線とかなりずれていることがわかり、その時には境界未確定(申請地側)になっていたものを岡山市が公嘱協会(正式名は公共嘱託登記土地家屋調査士協会、つまり調査士が役所から登記・測量の業務を受託する時の受け皿の組織)に地図訂正を依頼したものです。
 なぜ岡山市が個人の土地の地図訂正ができるのか?それは国土調査の事業主体である岡山市が地方税法による固定資産課税台帳の登録事項の修正をするべく地図訂正を当初境界誤認による地図訂正と調査後分筆(国土調査の測量の後に、その成果が法務局に行く前に分筆され、地籍図に分筆線が手入れされていないこと)の分筆線の記入を依頼されていました。現況測量するうちに、他の隣地が図根点(基準点)の測量ミスと思われる境界線のズレも判明し、同時に訂正することになったものです。
  
 境界誤認による地図訂正は現況測量及びそれぞれの地権者からの聞き取り調査で、原因は明確ですが、地権者の一人はなかなか気難しい人でしたので、土地の沿革・国土調査の測量の状況等を細かく調査して、その方が納得できるまで調査する必要がありました。境界鑑定まがいの調査をして、「やはりこれしかない」というところまでして、それをその方だけでなくどの人が見てもわかるように現況平面図・沿革図等描いたつもりです。
  
 今回一番難しくさせたものは、隣地の一部が墓地(4筆)になっていたことです。2筆は大正時代の登記のまま相続登記がされていません。1筆は表題部だけで、住所もわからない状況でした。とにかく住所のわかる所は立会依頼の手紙を登記簿名義人に郵送しました。案の定、2名が宛先人不明で帰ってきました。1名は届いても連絡がないから電話連絡すると、まったく墓地の存在すら知らなく境界立会も協力してくれそうもない状況でした。多分登記簿はそのままになっていますが、墓地として墓石所有者に売っているようでした。
  登記簿からの探索はあきらめ、現地にある墓石を丹念に調査すると、結構新しい墓石もあり、名前も個人の(中には○○家累代の墓となって個人が特定できないのもある)名前があるのを全部記帳し、市に調査をお願いしました。当方も電話帳、戸籍等で調査したり、近所の方にお願いして墓参りに来る人や管理している人に名刺を渡してもらったりでいろいろ苦労しました。ようやく判っても遠方の人には近所の親戚に境界確認してもらったり、それが無理な場合は推定境界の写真を送付し、それで確認してもらったりでようやく墓地の方は片付きました。
  
  どうしても連絡の取れないところは、添付書類の上申書の通り、依頼人である市長の上申書を法務局に提出するということで、決着しま
した。

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